前回の記事「Webマーケティングの成功を支えるSEO戦略」では、本質的なSEO対策の重要性について見てみました。今回は、さらに踏み込んで、Webサイトの技術面での最適化について、より具体的にみていきます。
多くの企業がWebサイトをリニューアルする際、デザインやレイアウトといった「見た目」にはとても注意を払います。しかし、実際の集客力を左右するのは、ユーザーの目には直接見えない技術的な品質が必要です。この「見えない品質」こそが、検索エンジンからの評価とユーザーの使い易さの良し悪しを決定づける重要な要素です。

当社のWebコンサルティングサービスでは、第一段階(1〜3ヶ月目)で徹底的にSEOの技術面での最適化を実施しています。それはWebマーケティングにおいて、どんな集客手法を取り入れるとしても、すべてに必要不可欠な仕様となるからです。
なぜテクニカルSEOが重要なのか
テクニカルSEOとは、検索エンジンがWebサイトを正しく評価できるようにするための技術的な調整や取り組みのことです。一言でいえば「検索エンジンが理解しやすい環境を整える」作業と言えます。
Googleをはじめとする検索エンジンは、単に「キーワードが含まれているか」だけでなく、「そのサイトはユーザーにとって使いやすいか」「情報は信頼できるか」「技術的に問題はないか」といったたくさんのポイントからそのサイトを評価しています。
最近では、ユーザー体験(UX)を重視する傾向がさらに強まり、ページの表示速度やモバイル対応、セキュリティ対策などの技術的要素が検索順位に大きく影響するようになっています。
テクニカルSEOの本質は、実はユーザーへの親切な配慮にあります。
速く表示されるページは訪問者の時間を尊重していますし、どの端末でも見やすいサイトは多様なユーザーニーズに応えています。セキュリティ対策は訪問者の安全への配慮であり、適切な構造化は情報をわかりやすく提供する工夫です。つまり、技術的な最適化は「Webサイト上でのおもてなし」なのです。検索エンジンが高く評価するのは、まさにこのユーザーへの配慮ができているWebサイトなのです。
しかし、多くの中小企業のWebサイトでは、こうした技術的な最適化が十分に行われていません。見た目のキレイさやカッコ良さの追求は力を入れて取り組みますが、ユーザーへの親切な配慮についてはほぼ何も対処されていない状態です。
その結果、せっかく良質なコンテンツを提供していても、検索結果で上位表示されなかったり、ユーザーが操作性の悪さからストレスを感じて離脱してしまったりする状況が起こっています。
見た目だけのリニューアルの落とし穴
「Webサイトをリニューアルしたのに、アクセスが減った」
「デザインは良くなったのに、問い合わせが減った」
このような声をとてもよく耳にします。
実は、見た目だけを重視したリニューアルには大きな落とし穴が潜んでいるのです。
デザイン重視のリニューアルの問題
- 必要以上のモーションや動画で表示速度が低下
- 検索エンジンが理解しにくい間違ったHTML構造
- スマートフォン対応が不十分
- 無計画なURLの変更による既存の検索順位の喪失
- セキュリティ対策の不備
ユーザーへの配慮のない見た目優先だけの制作を行なったことから、こうした技術的な問題が多く発生して、集客力を大きく低下させています。特に問題なことは、発注者側が原因となっている箇所が見えにくく、わかりにくいことです。目に見えてわかりやすい箇所だけに取り組んで、見えない重要な箇所は手をつけない。こんな制作ではWebサイトに訪問してくるユーザーの使いやすさへの最適化ができるわけがありません。見た目は良くなったのに成果が出ないのは、見た目だけの制作で出来上がってしまい、ユーザーへ配慮が必要な箇所が問題だらけとうことに気づかず、耳障りの良い流行の集客施策にばかり目を向けてしまっているからです。
デザインを変えることもとても重要ですが、Webサイトのスペック(技術的な品質)を向上させながらリニューアルしなければ、デザインもスペックも向上させる本当の意味でリニューアルとなりません。これには専門的な知識と経験が必要ですが、そうした点にきちんと配慮できるWeb制作会社はまだまだ少数です。
当社が実施するSEOの技術対策
当社のWebコンサルティングでは、第一段階(1〜3ヶ月目)でSEOの技術対策を徹底的に実施します。1ヶ月目で行なった調査/検証により、最適化できていない箇所がわかりますので、すべての箇所の最適化を目指して改善に取り組みます。
モバイルフレンドリーとコアウェブバイタル対策
現在、多くのユーザーがスマートフォンからWebサイトを閲覧しています。Googleも随分前にモバイルファーストインデックスを採用し、スマートフォンでの表示を重視した評価を行っています。
スマートフォンの最適化では、単なるレスポンシブデザインの採用だけでなく、Googleが重視するコアウェブバイタルの3つの指標(INP、LCP、CLS)についても最適化を行います。
- INP(Interaction to Next Paint) → ユーザーの操作に対する応答速度
- LCP(Largest Contentful Paint)→ メインコンテンツの読み込み速度
- CLS(Cumulative Layout Shift)→ ページ読み込み中のレイアウトの安定性
この指標は、ユーザーが実際にWebサイトを使用する際の使い易さに直接影響があります。
食事に例えるなら、料理の味だけでなく、注文から提供されるまでの時間、食器やカトラリーの使い易さ・清潔さ、料理提供時のサービス、食事する環境といった「食事体験」を良くする要素と言えます。
コアウェブバイタルの最適化は、単なる技術対応ではなく、ユーザーへの心配りです。特にスマートフォンユーザーには、その差が体感として大きく響きます。
ページ表示速度の最適化
ページの表示速度は、ユーザーの使いやすさと検索エンジンの評価の両方に大きく影響します。
表示に3秒以上かかるとユーザーの40%が離脱するとも言われています。
【表示速度の最適化ポイント】
- 画像の最適化(適切なサイズ、圧縮、次世代フォーマットの採用)
- JavaScriptの最適化(整理、非同期読み込み、遅延読み込み)
- CSSの最適化と簡素化
- ブラウザキャッシュの適切な設定
- サーバーレスポンスの改善
特に画像の最適化は大きな効果があります。WebPやAVIFといった次世代画像形式を導入することで、従来のJPEGやPNGと比較して、画質を維持したまま50%以上のファイルサイズ削減が可能です。
画像はWebサイトのファイルサイズの大部分を占めることが多く、最適化の効果が直接表示速度に反映されます。適切なサイズ設定も重要で、表示サイズに合わせて画像を最適化することで無駄なデータのやりとりを無くせます。さらに、画像の遅延読み込み(レイジーローディング)を実装すると、画面に表示される部分の画像だけを先に読み込むため、初期表示が速くなり、ユーザーはストレスなくコンテンツを閲覧できるようになります。
JavaScriptの最適化も表示速度向上に大きく貢献します。JavaScriptは動的な機能を提供する強力なツールですが、不用意に実装しまくると読み込み時間を大幅に遅延させてしまいます。コードの圧縮や不要なスクリプトの削除はもちろん、非同期読み込みや遅延読み込みを適切に設定することで、ユーザーが「読み込む中(Loading..)」を見つめる時間を短縮できます。特に配慮が必要なことは、ファーストビュー(最初に見える画面)に直接影響しないJavaScriptは後回しにして、まずコンテンツを表示させる工夫です。こうした細かな調整により、ユーザーの体感速度を劇的に改善することが可能になります。
HTML構造の適正化
検索エンジンは、Webサイトの内容を理解するためにHTMLの構造もあわせて把握します。適切な構造化されたHTMLは、検索エンジンがコンテンツを正しく理解して、適切に評価されるために必要です。
【HTML構造のポイント】
- 適切な見出し構造(H1〜H6)の設定
- 意味を持つHTML5のセマンティックタグの活用
- スキーママークアップによる構造化データの実装
- 適切なmeta情報の設定
- 画像のalt属性の最適化
適切なHTML構造は、人間にとっても検索エンジンにとっても、ページの情報を理解しやすくします。見出し階層(H1〜H6)が論理的に組まれていれば、コンテンツの重要度や関連性が一目でわかり、必要な情報へ素早くたどり着けるようになります。見出し階層は本の目次や章立てをしっかり整えるようなものです。内容が同じでも、構造が整理されていると読みやすくなるのと同じです。
残念ながら、見た目だけにこだわったWeb制作では、この構造がめちゃくちゃになっていることがあります。例えば、デザイン上の理由から見出しを単なる装飾テキストにしてしまったり、見出しレベルを視覚的な大きさだけで選んでしまったりするケースです。H1が複数あったり、H2の後にいきなりH4が来るなど、適切ではない構造になってしまっています。
これは、スクリーンリーダーを使用する視覚障害者にとっては非常に混乱を招く原因となります。検索エンジンはこうした構造上の乱れからコンテンツの重要度を正しく判断できなくなり、結果的にサイトの評価が下がることにつながることも考えられます。
適切なHTML構造の実装は、見た目の装飾を作るためのものではなく、情報の整理整頓のために必要と捉えるべきです。整理された部屋で必要なものがすぐに見つかるように、構造化されたWebページではユーザーも検索エンジンも情報が探しやすくなります。
セキュリティ対策と常時SSL
Webサイトのセキュリティは、ユーザーの信頼を獲得するとともに、Googleからの評価にも直結します。常時SSL化(https化)は、今や標準の仕様となっています。
【セキュリティの配慮】
- 常時SSL対応の確認と設定
- セキュリティヘッダー(CSP、X-Content-Type-Options等)の設定
- WordPressなどのCMSの保守管理対策
コンテンツの質がどれだけ良くても、セキュリティに問題があれば、検索エンジンの評価は下がってしまいます。これは、どんなに美味しい料理でも、衛生状態に問題がある飲食店には行きたくないのと同じです。
セキュリティ対策は訪問者の安全を守るとともに、サイトの信頼性を高める重要なポイントです。
SSL化されていないサイトはブラウザで「保護されていない通信」と警告表示され、ユーザーが不安に感じるでしょう。また、WordPressなどのCMSを利用するサイトでは、アップデートの遅れやプラグインの脆弱性がハッキングの原因となることもあります。
実際に、マルウェア感染したサイトはGoogleのブラックリストに登録され、検索結果から除外されることもあります。適切なセキュリティ確保とその保全は、訪問者への責任であり、サイトの評価と集客力を継続させるための必須条件です。
Webアクセシビリティの向上
Webアクセシビリティとは、障害のある方を含むすべての人がWebサイトを利用できるようにするための配慮です。これは社会的責任であるとともに、SEOにもプラスの影響を与えます。
【アクセシビリティ対応のポイント】
- 適切なコントラスト比の確保
- キーボードでの操作性の向上
- スクリーンリーダーへの対応
- フォームの入力支援
- 代替テキストの最適化
アクセシビリティへの配慮は、特定の利用者だけでなく、すべてのユーザーにとって使いやすいサイトにつながります。これは、お店のバリアフリー化が車椅子の方だけでなく、ベビーカーや高齢者にも優しい環境を提供するのと同じです。
Webアクセシビリティの向上は、実はユニバーサルデザインの実践です。
適切なコントラストは明るい屋外でのスマホ閲覧も快適にし、キーボード操作対応は効率的にサイトを巡回したいユーザーにも便利です。音声読み上げ対応は視覚障害者だけでなく、運転中に情報を聞きたい方にもメリットがあります。こうした取り組みは「特別な対応」ではなく「すべての人にとっての使いやすさ向上」であり、結果として検索エンジンからの評価向上も期待できます。
SEOの技術対策で期待できる効果
こういったSEOの技術面での対策を徹底して実施することで、いくつかの効果が期待できるようになります。
- 検索順位の向上
→ 技術的に最適化されたサイトは、検索エンジンから高く評価されます。 - ユーザー体験の改善
→ 表示速度の向上や使いやすさの改善により、訪問者の満足度が高まります。 - 滞在時間の増加
→ ストレスなく閲覧できるサイトでは、ユーザーの滞在時間が長くなります。 - コンバージョン率の向上
→ 使いやすいサイトは、問い合わせや購入といった成果につながりやすくなります。 - モバイルユーザーの増加
→ スマートフォン対応が向上することで、モバイルからのアクセスとコンバージョンが増加します。 - ブランド信頼性の向上
→ セキュリティ対策やアクセシビリティの向上は、企業の信頼性向上にもつながります。
SEOの技術面での対策はコンテンツマーケティングやSNS運用、広告出稿などの他の集客施策の効果を最大化する基本的土台となります。どれだけ優れた集客施策を行っても、ユーザーを受け入れるWebサイトの技術品質が低ければ、使いにくさや操作性の悪さで期待通りの成果は得られません。
テクニカルSEOはユーザーへの思いやり
テクニカルSEOの向上は、単に検索エンジンの評価を上げるためだけのものではありません。それはWebサイトを訪れるユーザーへの深い思いやりと親切な配慮の表れです。
実店舗での接客を考えてみてください。
店内が清潔で、商品が見やすく配置され、店員の対応が親切で、レジでの待ち時間が短い。こうした配慮ができていると顧客満足度を高め、リピーターを生み出すのと同じように、Webサイトでも「見た目だけで感じられない親切な配慮」が重要なのです。
ページの表示速度を上げることは、お客様を長く待たせないこと。
モバイル対応を徹底することは、どんな環境からでも快適に閲覧できるようにすること。
アクセシビリティを向上させることは、より多くの方に情報を届けようとする姿勢です。
こうした思いやりと親切心の積み重ねが、結果として検索エンジンからの高評価につながって、より多くのユーザーに自社の情報を届けられるようになる流れを生み出します。
技術的な最適化は、単なる「検索エンジン対策」ではなく、Webサイトを訪れるすべてのユーザーに対する「Webサイトでの接客の気遣い」なのです。そして、そうした気遣いができる中小企業が、ユーザーに選ばれていきます。
技術面も配慮してWebサイトの価値を最大化
Webサイトは、企業の顔であり、24時間365日働き続ける営業担当者です。その価値を最大にするためには、コンテンツの質だけでなく、技術的な品質も高める必要があります。
中小企業にとって、限られた予算で最大の効果を得る必要がありますので、まず技術的な基盤をしっかりと整えることから着手するのをお勧めします。キレイで今風の見た目や派手なモーションより、サイトを訪れるユーザーにストレスを与えない環境づくりを優先すべきだと私は考えています。
しかし、テクニカルSEOを正しく最適化できるWeb制作会社やコンサルタントはあまり多くありません。デザインや見た目の改善に焦点が当てられ、技術的な最適化は後回しもしくは全く着手されないケースがほとんどです。
当社では第一段階からこうした技術的な最適化に徹底的に取り組むSEO戦略を基盤としたWebコンサルティングサービスでお客様のWebサイトの価値を引き出します。その基盤の上に、効果的なコンテンツマーケティングやWeb広告運用、SNS活用などの集客施策を展開していき、集客とその成果の向上を支援しています。
御社のWebサイトは技術面で正しく最適化されていますか?
訪問するユーザーへの配慮がきちんと行われていますか?
見た目だけのチェックで終わっていませんか?
集客に課題や問題を抱えているようでしたら、まずはその内容をお聞かせください。
初回ご相談は無料です。
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